受験シーズンが終わると、受験生には現実が結果となって突きつけられてしまいます。残念なことに、志望校に受からなかった人や滑り止めにも落ちてしまった人もいると思います。
翌年の受験に向けて浪人をする場合、予備校に通わない宅浪(自宅浪人)という選択肢があります。僕は受験生時代、少数派と言われていた宅浪に挑戦して早稲田大学に合格しました。そのときの経験を書いてみようと思います。
具体的な勉強法は、年代や受験校の難易度などで変わってくるので、ここでは宅浪としての過ごし方やメンタルを参考にしていただければと思います。
宅浪(自宅浪人)を始めるまで
宅浪でいくと決意するまでには葛藤がありました。僕は現役でMARCHには受かっていたので、そのまま進学した方がいいんじゃないかと迷っていたんです。
現役受験生の時代
高校3年生の僕は、ごく一般的な受験生でした。周りが受験を意識しだす頃に、流されるように予備校を探して受験勉強を始めたクチです。通っていた高校の偏差値は60くらい。成績は中の上くらいだったと思います。
特に行きたい大学などはありませんでしたが、通い始めた予備校で早稲田出身の講師に感化され、「早稲田しかありえない」と思い込みます。
何度か受けた模試では、早稲田合格は微妙なライン。というかちょっと難しい判定。「頑張ればいける」と思って頑張りましたが、結果は不合格。滑り止めのMARCHには合格できました。
浪人を選択
「早稲田しかありえない」と思ってしまった僕は、現役合格した大学への進学を迷います。MARCH(明治、青山学院、立教、中央、法政)はそこそこ名もありますし、家族や友人は進学したほうがいいと思っていたかもしれません。
しばらく悩んだのですが結局、早稲田で勉強がしたいという思いから浪人することにしました。
宅浪(自宅浪人)を決意した理由
浪人生になったら、選ぶ選択肢は2つでした。
- 予備校に通う
- 自分で勉強する
現役受験生のときは予備校に通っていましたが、どうも活用できている感が薄かった記憶があります。とりあえず行って、とりあえず勉強する感じ。このまま予備校生になっても1年間をだらだら過ごしてしまう気がしました。
あとは金銭面。予備校はやはり高いです。季節ごとの講習を含めると1年で100万円くらい掛かるんじゃないでしょうか。当時の僕は、自分のわがままで浪人をするわけなので、あまり親に負担を掛けるのも申し訳ないと考えたんですね。
宅浪であれば費用はかなり抑えられます。こういった理由から、僕は宅浪を選ぶことにしました。
宅浪(自宅浪人)のメリット
宅浪は一般的に少し不利と思われがちですが、メリットも結構あります。
お金が掛からない
予備校通いとの最大の違いはお金が掛からないことですね。浪人中にかかる費用は、参考書や問題集なんかの書籍代がほとんどです。
あとは模試代と受験料もかかりますが、これはみんな一緒です。
移動に使う時間も勉強ができる
人によっては1時間くらいかけて予備校に通っている場合もありますが、その分の往復2時間を机での勉強にあてられるのは大きいです。年間にしたらとんでもない時間差になります。
自分のペースで勉強ができる
基礎からしっかり固めたり、分からないところにたくさん時間を割いたり、時間の使い方を好きに決めることができます。予備校だと「予習!授業!復習!」の流れがどんどんやってきます。
勉強が身についているのかもわからないまま、時間と授業内容だけがどんどん進んでいってしまうというのは結構あるあるです。
(成功すれば)自分で1年間をマネジメントした自信が付く
成功すれば、という条件付きではありますが、宅浪で目標の大学に合格するということは、1年間の時間の使い方を間違えなかったということです。
勉強する時間としない時間を上手くマネジメントした証です。オンオフの使い分け、仕事とプライベートの区別、大学生や社会人にも必要なスキルを習得できます。
宅浪(自宅浪人)のデメリット
宅浪にはもちろんデメリットもあります。人がやっていないことをやるわけですから、覚悟と工夫が必要です。
モチベーションや意識を保つことが難しい
たった一人で受験勉強と向き合わなくてはいけないので、モチベーションや目的意識を保てなければ、簡単に失敗できるのが受験です。
優秀な予備校講師というのは、教え方やテキストが優れているのはもちろんですが、生徒のモチベーションを上げる方法も心得ています。
「今でしょ!」の林先生なんかもそうですね。予備校の環境によって上手に流されることはできないので、自分で流れを作っていかなくてはいけません。
勉強の進み具合を自分で判断しなければならない
自分の勉強がどこまで進んでいるのか、それは自分が判断しなくてはいけません。予備校であれば講師が作ったテキストに沿っていけば、冬には一通りの分野は網羅できているはずです。
しかし、宅浪だと自分で計画を作り、実行していかなくてはいけません。模試を上手く活用しましょう。
家族の目が気になる
基本的には朝から晩までずっと家にいることになるので、家族の目は気にしないといけません。当然、まったく勉強をしないで遊んでいたら家族の反感を買うことは間違いありませんよ。
息抜きも必要ですが「あいつ息抜きばっかりじゃないか」と思われない程度にしましょう。浪人をさせてくれる家族には感謝しなくてはいけません。
寂しい
宅浪は一人でするものなので、寂しさがあります。みんなで一緒に頑張りたい人は素直に予備校に通った方が良いかもしれません。
予備校だと友達もできるみたいですが、一緒に遊んでしまうケースもあるようです。どちらにしても、宅浪でも予備校でも自分をコントロールできない人は成功しません。
宅浪(自宅浪人)だけどアルバイトをした
僕は宅浪時代にバイトをしていました。今から思い返してもバイトはしていてよかったなと思いますし、おすすめできます。ただし、時間をバイトに割きすぎてはいけませんよ。
宅浪は勉強だけに集中すべき!みたいな主張もよくわかりますが、1年間は長いです。
秋くらいまではバイトをしてもいいと思います。ただし頻度は週2~3回、時間は5時間くらいまでにしておきましょう。当たり前ですが、勉強の時間がなくなります。
僕も宅浪時代、週3回くらいは近所のコンビニでバイトをしていました。たしか11月頃までやっていたと思います。
バイトを選ぶポイントとしては次の4点。
- 家から遠くない
- 楽しすぎない
- そこまで疲れない
- 代わりがきく仕事
僕はバイトに行くための時間がもったいないので、近所のコンビニを選びました。自転車で20分くらいでしたね。若者が多い飲食店だったりすると、バイトの後や休日に遊びに誘われることがあるかもしれませんが、コンビニではあまりありません。
「君がいないと困る」という仕事でもないので、辞めるときもスムーズでした。やめることができずに、あとひと月、年末まで、とズルズル続けていくはめになってしまうと、当然ながら最後の追い込みに悪影響があります。
前もって受験生であることはアピールしておいた方がいいです。そのほうがやめるときもスムーズです。僕はパートの主婦の人に「大学に受かったら報告に来てね」と言われて嬉しかったのを覚えています。
バイトのメリット
宅浪がバイトをするメリットはこんな感じ。
お金が手に入る
宅浪といえども、やはりお金は掛かります。参考書代や模試代、本番の受験料は避けては通れません。たまには友達と会ってご飯をすることもあるでしょう。そんなときに親からお金を貰うのって少し申し訳ない気持ちになりますよね。
月に3万円でも自分で稼いでいれば、その分は自分で好きに使うことができます。
大学の学費を稼ぐためにバイトをするのはおすすめしません。学費を稼ぐためにはかなりの時間をバイトに割かなくてはいけないので、もう1年浪人してしまう可能性が高まります。大学に入ればバイトはいくらでもできますよ。
気分転換やモチベーションの維持に役立つ
ずっと自宅で勉強だけだとさすがに息が詰まるので、週に2回でも外出することが気分転換になります。どうせ外出するなら遊びに行くよりもバイトの方が有意義でしょう。受験勉強だけだとどうしても視野が狭くなりますからね。
バイト先で触れる人間関係は、高校時代のものとも大学に入ってからのものとも違います。大学生の先輩がいるかもしれませんし、嫌いな社員がいるかもしれません。
そんな人間関係でも、考え方ひとつでモチベーションに転換することもできます。
- あの先輩みたいに大学生活をエンジョイしたい
- 志望大学に入って社員を見返してやる
なんでもいいです。バイトのストレスすら受験勉強の燃料にしましょう。
勉強ができない時間ができる
バイトをしている間は、強制的に受験勉強から離れることになります。これが意外と効果的だったと僕は思っています。
なぜならば、勉強ができない時間があることで、勉強ができる時間を無駄にしなくなったからです。
- 今日は5時間、勉強ができない
- それならその分の勉強時間を確保しなければ
こんな感じで、バイトに時間を取られることで、ダラダラする時間が少なくなったのです。
勉強だけしかやることがないと、逆に何もしない時間が増えてしまいがち。バイトによって勉強ができない時間を作ることで、そのほかの時間を大事に使うことができます。
浪人生がバイトを探すなら
浪人生がバイトを探すのに、無駄な時間は掛けていられません。ネットでサクッと探してしまいましょう。
おすすめはマッハバイトというサービス。求人の内容なんかは基本的にどこも同じようなものですが、マッハバイトは採用お祝い金が貰えるのが特徴です。
少しでもお金に余裕があれば、参考書代にもなるし、バイトをやめるときに困ることも少なくなります。
宅浪(自宅浪人)をするときの注意点
宅浪は自分で自分を導かないといけないので、楽な道ではありません。僕もすぐダラダラするタイプだったので、早稲田に受かったのもギリギリのラインだったと思います。
自分がしたことや、すればよかったことを参考に、宅浪をするうえでの注意点も書いておきます。
朝型の生活を心がける
人間は朝に光を浴びないと本当の意味で目が覚めません。静かな夜中の方が勉強に集中できるのはわかりますが、できるだけ朝型の生活をしましょう。
本番の試験が行われるのも午前中なので、その時間に力を発揮できる体を一年かけて作ります。
健康に気を付ける
浪人生はまだ年齢的にまだ若いのであまり意識しないかもしれませんが、健康はやっぱり大事です。風邪で寝込むと勉強が進まないし、受験本番で体調を崩すと結果に直結します。
日ごろから体調には気を遣うようにしましょう。
僕は毎日サプリを飲んでいました。ビタミンとかも飲んでいましたが、一番良かったなと思うのはDHAです。
DHAは簡単に言えば魚の油なんですが、学習能力を高めたり記憶力をよくする効果があるといわれています。
僕がこれを飲み始めたきっかけは、「どこかの漁村でやたら東大生が生まれていて、その理由は魚をめちゃくちゃ食べるから」というテレビを見たから(笑)。
今は30歳を過ぎていますが、実際、受験時代ほどの記憶力はありません。それがDHAを飲んでいないからなのか、年のせいなのかはいまいちハッキリしませんが…。
お楽しみは朝のうちに
勉強だけで1年間を過ごすのはハッキリいって不可能です。見たいテレビや趣味を楽しんでリフレッシュすることも必要です。ただ趣味にあてる時間は、起きてから勉強を始めるまでの間に限定してください。
朝に起きて好きなことをしてリフレッシュ、あとは夜まで勉強して寝る。このサイクルを作れば、身体的にも精神的にも良い状態を維持できると思います。
夜まで勉強してそのあとからお楽しみの時間にすると、ダラダラ長引いてしまって夜更かしに繋がります。趣味の時間は朝の1時間に限定しましょう。
宅浪にこだわらない
これをいっては元も子もないかもしれませんが、途中から予備校に通う選択もありです。宅浪が無理だと思ったら親や友達に相談しましょう。あなたの目的は宅浪を成功させることではなく、志望校に合格することです。
夏期講習や冬期講習で短期で予備校に行ったり、週に1コマだけ予備校の授業を受けるのも全然いいと思います。ライバルである予備校生の様子を知れますし、予備校講師の授業でモチベーションアップに繋げられます。
自宅で勉強をするにしても、参考書だけでは息詰まるかもしれません。アプリやウェブも積極的に活用しましょう。
宅浪は手段、目的は合格です。
宅浪(自宅浪人)で早稲田合格体験のまとめ
僕の体験をもとに、宅浪についてあれこれ書いてみましたが、最終的には合格することがすべてです。予備校に行って合格するなら、それでいいと思います。
ただ、宅浪しか選択肢がないという人がいるのも事実。そんな受験生に、この記事が少しでも参考になれば嬉しいです。
この1年を乗りきったら自信になること間違いありません。必ず成功させましょう。
浪人生時代にお世話になった参考書たち
最後に、当時お世話になった参考書を2冊、紹介したいと思います。調べてみたら今でも売れているようです。さすが名著。
受験科目以外のものを紹介しても仕方ないので、ここでは英語だけに限定して紹介します。
システム英単語
英語の基本は英単語。システム英単語、通称「シス単」です。基礎固めにはもってこいの単語帳だと思います。
単語って普通は1つ1つ覚えるものですが、実際の試験では「この単語の意味は何か?」という問われ方はしないですよね。シス単では実際に単語の使われ方をミニマルフレーズという形で、短い例文つきで掲載しています。
これが優れもので、文章の中で出てきた単語は定着度が全然違います。それに、前置詞や熟語などと一緒に覚えることができるので、この1冊で何冊分もの役割をこなしてくれます。
早稲田レベルまで対応可能ですが、まずはこのシス単でみっちり基礎を固めるのがおすすめです。
DUO3.0
シス単をやったあとは、このDUO3.0にお世話になりました。この単語帳のおかげで早稲田に受かったといっても過言ではないくらいです。
DUOは一応、単語帳です。しかし、別の単語帳をクリアしたあと、ある程度の単語力を付けた後に取り組むと効果は倍増します。
DUOに掲載されている例文をまるまる覚えてしまうことで、文法力や熟語力まで身についてしまうんです。例文をまるまる覚えることなんかできないと思うかもしれませんが、DUOは耳で覚えるので記憶に定着しやすいんです。
なので、DUOはリスニング用CDと一緒に使うのがおすすめ。外を歩く時などに、音源をイヤホンで垂れ流しにしておくと、無意識レベルで暗記に役立ちます。歩きながらクイズをやっているようで、本当に効率的でした。
社会人がTOEIC用に使うくらいの物なので、受験生の最初の単語帳としてはあまり意味がないです。シス単で単語力を付けた後に、DUOでそれに肉付け。あとは長文をがんがん解いて、細かい文法を頭に入れたら早稲田にも対応できるはずですよ。
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